NIPT(新型出生前診断)とは③

NIPT(新型出生前診断)とは③

今回はNIPTの原理と検査結果についてお話したいと思います。NIPTを受ける施設よっては委託している検査会社が違うことで検査の方法が違ったり、結果の記載内容が異なるケースがあるのですが一般的な検査の原理について説明をしていきます。

検査はどうやってやるの

検査は妊婦さんの血液を採取するため赤ちゃんへの侵襲性がありません。妊婦さんの血液中には赤ちゃんの成分(cell free DNAと呼びます)が胎盤を通して流れていることがわかっています。この赤ちゃんの成分を次世代シークエンサーと呼ばれる機械を使って調べることで赤ちゃんの染色体の変化を調べます。非確定的検査のため、「陽性」と判定された場合には、羊水検査などの確定的検査を受け、診断を確定させる必要があります。

cell free DNA(cfDNA)とは

赤ちゃんと母体は胎盤で繋がっており、栄養の供給や老廃物の除去など様々な役割をしています。胎盤は赤ちゃんの絨毛が由来であり、絨毛の細胞は活発に新陳代謝をしており古くなった細胞が剥脱してその細胞が分解されることで、DNAが細切れになった状態で母体血中に入り込むと考えられている。このDNAは母体血中に3~10%含まれています。

検査の原理について

検査に関しては次世代シークエンサーと呼ばれる機械で、母体血から各染色体の量の変化を見ます。DNA断片がどこの染色体由来なのかをパズルのように一つ一つ並べていく作業をこの機械が大量に行っていきます。染色体の量は個人差がなくほぼ一定となります。母体血の中に含まれるDNAが赤ちゃん由来かを区別することは出来ないのですが、赤ちゃんがもし21トリソミーであった場合は21番染色体由来のcfDNAが増加することになります(1.3%→1.42%)。この僅かな量の違いを比較することで判定を行っています。

検査結果はどれくらいででるの

検査結果については受ける施設によって変わってきますが、認可施設であれば1~2週間程度が目安となります。

検査結果について

検査の結果はダウン症候群、18トリソミー、13トリソミーに関して可能性が高い場合は陽性(高リスク)、可能性が低い場合は陰性(低リスク)、赤ちゃんのcfDNAの量が少ない時などに判定保留という3つの結果がでます。NIPTの検査が非確定的検査と呼ばれるのは本当は陰性であるのに陽性という結果が出る疑陽性があるからで。陰性という結果の正確性は99.99%ですが陽性は厳密にいうと年齢や妊娠週数によって幅があります。陽性が出た場合は羊水検査により診断を確定させるのが一般的な流れです。羊水検査は母体のお腹に針を刺して羊水をとる必要があるため400人に1人の割合で感染症や流産の恐れがあることも検査を受ける前に考えておくことは大切だと思います。

その他にNIPTの検査はないの

認可施設ではダウン症候群、18トリソミー、13トリソミーのリスクのみを知ることができますが、その他の施設では3つ(21、18、13番)以外の染色体の数の変化や構造の変化、遺伝子に変化、性別についても知ることができることをうたっているところもあります。赤ちゃんについてたくさんの情報を得られることは有益かもしれませんが、検査結果を見て 「でどうしたらいいの」とかご夫婦にも遺伝的な要因があるのではないかといった、望んでいなかった情報もわかる可能性があります。そのような検査を受ける前によく情報を得たうえで受けることが大切だと思います。