NIPT(新型出生前診断)とは①

NIPT(新型出生前診断)とは①

更新がまったくできておらず、すみません久しぶりの更新です。
今回はNIPT(新型出生前診断)について数回に渡り説明をしていこうと思っています。「無侵襲的出生前遺伝学的検査」または「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査」とも呼ばれていますがここではNIPTと呼ぶことにします。

どのような検査かと言いますと妊娠している女性の血液中には赤ちゃんの成分がわずかに含まれています。妊婦さんを採血して赤ちゃんの成分を調べることでお腹の中の赤ちゃんの染色体の数をみる検査です。ダウン症候群(21トリソミー)、18トリソミー、13トリソミーの3つの染色体について調べます。その他の病気については調べませんので必ず健常なこどもが生まれてくるわけではないことは知っておいてください。一般的に生まれてきた赤ちゃんが100人いると3~5人は何らの病気をもって生まれてくると言われています。


どんな人が対象なの

今後、改定される可能性がありますが、現在学会のガイドラインでは対象者は下の3つのいづれかに該当する方です(2020年3月時点での情報です。今後変更になる可能性があります)。

  • 分娩予定日に35歳以上の方
  • 過去に21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーのお子さんを妊娠あるいは分娩したことがある方
  • 超音波検査や母体血清マーカー検査などで赤ちゃんが21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーをもつ可能性の上昇を指摘されている方、ご夫婦のいずれかが上記染色体にかかわる転座保因者である場合など

どこで受けられるの

ネットで検索してもらうと認可施設無認可施設という言葉が出てくると思います。何が違うの?と思われると思いますので丁寧に説明していきます。

認可施設と無認可施設の違い

NIPTを受けるにあたって適切な遺伝カウンセリングを受ける必要があり検査を行った後に結果の提示と説明が行われることが要件としてあげられています。その他にも要件がありますが日本医学会が登録要件を満たした施設を認可施設としています。認可施設の情報はNIPTコンソーシアムで確認できます。一方で無認可施は施設の認可を受けていない施設になります。無認可施設については無認可だから法律違反というわけではなく、同じ内容の検査を受けることが出来ます 。

具体的には何が違うの

NIPTは妊娠10週~受けることが出来ます。認可施設の場合はNIPTを受けようと思ってもすぐに予約が取れない可能性があります。その他に、検査前の遺伝カウンセリングをパートナー同席で聞く必要があります。臨床遺伝専門、認定遺伝カウンセラーといった遺伝の専門家がNIPTの説明や不安や疑問点に寄り添ってくれます。適切なステップを踏んでるが故に不便と感じる部分があるかもしれません。

一方で無認可施設は対象者に制限がありません。また価格も安く、検査結果が出るのも早いです。そんなことを言うと無認可の方が良いのではないかと思ってしましますが、検査前の説明が不十分であったり、結果だけ自宅に郵送され説明がなくどうしたらよいのか路頭に迷ってしまうケースが問題となっています。つまり、NIPTをきわめて簡便に実施できることから、検査に関する十分な説明が医療者から提供されず、その結果、妊婦がその検査の意義、 検査結果の解釈について十分な認識をもたないまま検査が行われるおそれがあるということが問題となっています。

検査を受ける前にパートナーで考えて欲しいこと

・NIPTを何のために受けるのか

・結果が陽性であった場合どうするか

・陽性であった場合、最後まで対応してくれる施設を探しておく

・21トリソミー、18トリソミー、13トリソミー以外は調べない検査であること

命の選別と言われています

これまでのNIPT検査において陽性だった方の妊娠中断率は78%で多くの方が妊娠を諦める決断をされています。ダウン症候群、18トリソミー、13トリソミーについてはネットで調べれば多くの情報がありますので詳しくは説明しませんが、生きて生まれてくる可能性がある命を選別するのはどうなのかという意見があるのも確かです。これまでの人生、経験、家族の事情は人それぞれですので何が正解で何が間違っているという答えはありませんが、一度立ち止まって考えることも大切なことだと思います。

長くなってしまいましたが、次回からNIPTの特徴、検査について説明します。