遺伝に関する分野における細胞のモザイクについての解説します

遺伝に関する分野における細胞のモザイクについての解説します

遺伝の分野において、たまに出てくるフレーズとして“モザイク”という言葉があります。映像などに使われるモザイクとはまったく意味が異なります。

簡単に言うと、黒髪の中に白髪が混ざっているような状態のことを言います。もう少し詳しく説明していきたいと思います。

モザイクとは

私たち人からだは、もともと一つであった受精卵から分裂を繰り返し、最終的に約37兆個の細胞からつくられているといわれています。

そのため理論上、細胞一つ一つは同じ遺伝情報(染色体や遺伝子)を持っていることになります。

しかし、細胞分裂の途中で異常分裂や何らかのコピーミスが起こることで、異なった細胞が作られることがあります。

その結果、異なった性質の細胞が同時に混在することをモザイクとよびます。

モザイクの種類

細胞の分裂過程のどの段階でモザイクが発生するかによってモザイクの種類が異なってきます。

この種類の違いについて解説していきます。

胎盤限局性モザイク

名前が少しややこしいですが、簡単に言いますと。

胎盤の細胞がモザイクとなっているということです。

胎盤とは母体の子宮に貼り付いて成長する胎児の一部です。

胎盤から伸びたへその緒は胎児のおへそと繋がっており、胎盤を通して酸素や栄養分、水分が胎児に送られています。

なぜ、胎盤の細胞のモザイクの話題がでるのかというと、出生前検査が関係してきます。

出生前検査については以前の記事「NIPT(新型出生前診断)とは①」で解説していますので読んで頂けたらと思います。

つまり、妊娠中に胎児の状態を調べる出生前検査の1つである、NIPTや絨毛検査は検査の方法は違いますが胎盤の細胞を調べる検査なのです。

胎盤は胎児由来の細胞なのですが、胎盤と胎児の細胞は必ずしも一致するとは限りません。

つまり、検査によって胎盤にモザイクあったとしても必ずしも胎児に同じモザイクがあるとは限らないのです。

このような点からモザイクが生じると検査の判定を難しくさせることがあるため、そのような話がでてくることになります。

体細胞モザイク

まず、体細胞とは何かというと、皮膚や臓器、血管など体を構成している細胞のことをいい、このような細胞にモザイクが存在することをいいます。

多くのがん、様々な要因によって体細胞にエラーが生じがん細胞ができることから、体細胞モザイクということができます。

その他に体細胞モザイクであると何が起こるのかというと、疾患の症状の強さが異なってきます。

例えば、X連鎖遺伝性疾患(X染色体上の遺伝子変化によって男性に症状がでる疾患)において、通常男性の場合生まれてくることが困難疾患において、正常な細胞と遺伝子変化を持った細胞が混在しているが故に生まれてくることができたり、100%細胞が遺伝子変化を持っているわけではないので、疾患の症状が軽微であったりします。

また、体細胞の変化は次世代へ遺伝することはありません。

生殖細胞モザイク(性腺モザイク)

生殖細胞は精子や卵子を作る細胞のことをいいます。

生殖細胞モザイクで考えなければいけないことは、両親に何も疾患の症状がなくて、子どもが疾患に罹患する可能性があることです。

どういうことかといいますと、常染色体顕性遺伝性(優性遺伝)の疾患の場合、通常は親のどちらかが疾患に罹患しており、こどもへその疾患の原因となる遺伝子変化が遺伝することで子どもも疾患に罹患します。

ご両親に疾患が発症しないのは、体(体細胞)には遺伝子変化を持っておらず、精子または卵子にのみ遺伝子変化を持っているからです。

このようなケースですと、こどもが疾患を発症して初めてわかることになります。精子や卵子のみが遺伝子の変化を持っているという意味で性腺モザイクとも呼ばれています。

まとめ

このような、モザイクは検査結果の判断を難しくしたり、疾患の症状の予測を困難にする場合があります。

家系内にも同じような疾患に罹患している方がいない、常染色体顕性遺伝性(優性遺伝)疾患の児の遺伝カウンセリングを行う場合には生殖細胞モザイクを考慮する必要があるということになります。