NIPT(新型出生前診断)とは②

NIPT(新型出生前診断)とは②

前回、NIPTはお腹の中の赤ちゃんが21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーであるかを調べる検査とお伝えしました。NIPTとウェブで検索してもらうと先天性疾患という言葉を目にすると思います。21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーと赤ちゃんの病気との関係について分かり易く解説していきます。

先天性疾患とは

生まれた時に何らかの病気を持って生まれてくることを言います。一般的に生まれてきた赤ちゃんが100人いると3~5人が何らかの病気を持って生まれてくると言われています。

先天性疾患の原因
●約50%は多因子遺伝であり、たくさんの遺伝子や環境要因が複雑に関係してい
 ることを言います。簡単に言いますとはっきりとは原因がわかっていないとい
 うことです。

●約20%は反対に一つの遺伝子のみが関係しているということです。

●約5%は環境・催奇形性因子であり、タバコやアルコール、薬剤、放射線被
 爆、ウイルス感染などです。

●残りの25%が染色体疾患であり、染色体に変化が生じることです。21トリソ
 ミー、18トリソミー、13トリソミーはこれに該当します。

先天性疾患の原因

染色体とは

染色体は、遺伝情報を伝える役割を担っています。ヒトの場合、23本の染色体がセットになっており、合計46本持っています。片方は父親から、もう片方は母親から受け継がれます。1〜22番までは共通でもっている「常染色体」と呼び、X/Yは性別を決める「性染色体」と呼びます。性染色体がXXは女性、XYは男性です。詳しくは過去の記事を参照ください。

染色体と病気

人の染色体を診てみますと、染色体の数や染色体の形に変化が見られることがあります。

染色体の変化が見られると、染色体の量に過不足が生じ、そのことによって遺伝子に過不足が生じることになります。ヒトの体は二つの遺伝子がバランスよく働くことで正常な働きをしていますが、遺伝子の過不足によりバランスが崩れることで赤ちゃんの発達や成長に影響して、先天性の疾患や体質の原因になります。染色体数の変化による先天性疾患の中で、頻度の高いのがダウン症候群、18トリソミー、13トリソミーです。つまり、常染色体の数の変化の中で、生まれてくることが出来るのはこの3つの疾患なのです。この3つの疾患は染色体疾患の中の約70%に該当します。

染色体疾患の内訳

NIPTの検査でどこまでわかるの

これまでのことをまとめますと、赤ちゃんが100人いると3~5人が何らかの病気(先天性疾患)を持って生まれてきます。その原因の約25%が染色体の変化によるものです。染色体の変化の中の約70%がダウン症候群、18トリソミー、13トリソミーです。つまり、先天性疾患のすべてを調べる検査ではないということを理解頂けたらと思います。

次回はNIPTの検査の原理、結果について説明していきます。