遺伝について
今回は遺伝にはどのようなものがあるか、この遺伝形式についてお話をしたいと思います。一つの遺伝子の遺伝子の変化によって引き起こされる遺伝性疾患を単一遺伝子疾患と呼びます。メンデル遺伝病と呼ばれることもあります。単一遺伝子疾患では常染色体劣性、常染色体優性、X連鎖遺伝形式があります。複数の遺伝子が関係する多因子疾患とは区別する必要があります。
常染色体劣性遺伝形式とは
染色体は父親から1本、母親から1本受けとるので2本持っていることは以前お話させて頂きました。常染色体においてこの2本両方に病的のある遺伝子を持つ、つまり父親と母親から病的のある遺伝子を1本づつ受け取ることで病気を発症する遺伝形式を言います。
特徴
- 父親と母親は病的のある遺伝子を1本持っていますが症状がない(保因者と言います)。家系図を見ますと、兄弟、姉妹には同じ病気の人が見られるが親や子、血縁者には見られない。
- 親が近親婚(血族結婚)であると児に発症するリスクが高くなる。なぜかというと親や兄弟は50%遺伝子が同じです。つまり近親であると同じ遺伝子の変化を受け継いでいる可能性が高くなるからです。
一般的に人はみな数十個程度の劣性型の変化を持っていると言われていますので保因者であることは決してめずらしいことではないのです。
常染色体優性遺伝形式とは
劣性遺伝形式とはことなり病的な遺伝子を片方だけに持つことで発症する遺伝形式を言います。
病気を発症している人のことを罹患者と言います。
特徴
- どの世代にも症状を持つ人がいる。
- 一見上と矛盾するように思えますが、症状が出る人と出ない人がいる。このことを浸透率(度)と言います。必ず症状がでる場合を完全浸透、必ずしも症状が出ない場合を不完全浸透と言います。この浸透率というのは疾患によって様々です。
- 同じ変化を持っているからと言って疾患の重症度が異なってくる。症状が軽い人もいれば重症な人もいる。このことを表現度に差があるなどと言います。
- 片親が罹患していると子に50%の確率で遺伝する。
- 家系の中に罹患している人がおらず突然罹患者が現れた場合は新生変異である場合が多い。
X連鎖性遺伝形式
人は常染色体の他に性染色体を持っており、男性はXとYを女性はXを2つもっています。このX染色体の遺伝子の変化によって病気を発症するのがX連鎖性遺伝形式です。男性はXを一つしか持っていないので病的な遺伝子を受け継いだ男性は病気を発症します。
一方女性はX染色体を2本持っていますので片方に病的な遺伝子を持ってる場合は保因者、優性遺伝形式をとる場合は病気を発症します。
特徴
- 罹患者男性の児が男の子の場合病的な遺伝子を受け継ぐことはないが、女の子の場合は必ず病的な遺伝子を受け継ぐことになります。
- ここでは詳しく説明しませんが、男性はXとYを女性はXを2本持っていることから男女でX染色体の遺伝子の量に違いが出てしまいます。そのため女性においてX染色体の2本のうち1本の染色体は働かないような制御機構が存在します(これを不活化と言います)。この不活化のバランスで保因者であっても症状がでることがあります。
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